2023-01-01から1年間の記事一覧

モンゴルの食文化10(洋風献立構成)

再びウランバートルへ戻り、昼食はジンギスカン村。モンゴルのツーリストキャンプではヨーロッパと同様、夕食より昼食に重きが置かれています。現地の人の食事パターンではなくあくまでもツーリスト対象なのでしょうが、献立形式はサラダかオードブル、メイ…

モンゴルの食文化9(ボーズ、星座)

午後、鷲谷へ行き、珍しい植物や動物を見ながら南ゴビの自然を満喫。たくさん目にしたのはナキウサギというネズミのような動物でした。 「えっ、これが夕食?」という感じの内容ですが、ボーズは小籠包みたいなもので、モンゴルではおごちそうなのだと思いま…

モンゴルの食文化8(ゴビ砂漠)

ウランバートル空港から50人乗りのプロペラチャーター機で南ゴビ砂漠へ。空港があるわけではなくキャンプ場のそばに到着。砂漠というので、一面砂の砂漠を想像していたのですが、写真のように砂と小石が混ざった中に草がまばらに生えた砂漠でした。 南ゴビ県…

モンゴルの食文化7(盛り付けの工夫)

モンゴルでは食材が限られていて単調な食事が続きましたが、注意してみるとその単調さの中にもちょっとした心配りがみられます。食材が限られているからこそ、盛り付けで目新しさを出す、そんな工夫を垣間見たのがきゅうりでした。モンゴルでは生野菜は日常…

モンゴルの食文化6(白い食べ物4-ヨーグルト、アーロール-)

乳は完全食品といわれ基本的に必要な栄養素をとることが出来る優れた食材ですが、生のままだと腐りやすいため、加工して保存する工夫がなされその例がヨーグルトやチーズです。 ヨーグルトは、乳酸菌や酵母を混ぜ発酵させて作りますが、モンゴルでは乳の原料…

モンゴルの食文化5(白い食べ物3-スーティツァイ-)

スーティツァイは一言でいえばモンゴルの塩入りミルクティー。モンゴルではどこでも日常的に飲まれているお茶ですが、モンゴル滞在中口にしたのは、家庭を訪問して作り方を見学した時だけです。 たっぷりの湯で茶葉を煮出し、牛乳と塩を加えて、杓子ですくっ…

モンゴルの食文化4(白い食べ物2-ウルム―)

ウルムも馬乳酒と同様、モンゴルでしか味わえない乳製品です。 大鍋に牛乳を入れて加熱し、煮立ってきたら弱火にして柄杓で乳を掬って高いところから落とすという動作を何度も繰り返していると表面に細かい泡がたくさんでき、それを一日放置しておくと表面が…

モンゴルの食文化3(白い食べ物1-馬乳酒―)

モンゴルの食べ物は遊牧民のライフスタイルと厳しい気候条件に基づき、夏は白い食べ物(乳製品)、冬は赤い食べ物(肉料理)といわれ、夏の期間(6~8月)は毎日家畜の乳搾りをして色々な乳製品に加工するのですが、乳製品の中で最もモンゴルらしいものといえ…

モンゴルの食文化2(モンゴル1日目の夕食)

モンゴルへは北京経由(北京へ一泊)で入りました。ウランバートルの空港に着陸した時の第一印象は「大草原の小さな空港」。びっくりしたのは天井の2本並列の蛍光灯、1本が故障して点滅しているにもかかわらず修理もされず、天井も数か所剥がれ落ち天井裏が…

モンゴルの食文化1(プロローグ)

モンゴルの国旗は、赤・青・赤の順に並び、左側の赤字に黄色い模様が配されています。この模様、私は騎馬民族の騎兵を抽象化したデザインかと思っていたのですが、かつてモンゴルで使われていたソヨンボという文字で、上から火・太陽・月・矢・槍・長方形・…

中国浙江省の食13(エピローグ)

浙江省が、中国のどのあたりにありどんな都市があるのか、気候についても十分な知識はなく、食に関しても白紙のような状態で訪れたのが20年前。在職中の多忙さも手伝い20年間イラスト記録はしまい込んだままになっており、浙江省の料理がどんなものだったの…

中国浙江省の食12(紹興料理2)

紹興酒は紹興一帯で作られている中国の代表的な醸造酒。この酒が紹興で生産されるようになった理由として良質の糯米や水が得られることがあげられています。とりわけ鑑湖の水を用いたものはおいしいのだそうです。名水と銘酒はセットといわれ、日本酒も水質…

中国浙江省の食11(紹興地方料理)

紹興での夕食は魯迅の小説にも登場する老舗のレストラン「咸亨酒店」で摂りました。魯迅は中国の小説家、翻訳家、思想家として有名ですが、留学した日本では医学を学んでいます。魯迅の足跡をたどることが出来る「魯迅記念館」や当時の家具がそのまま保存さ…

中国浙江省の食10(東陽の食)

金華市から紹興市へ向かう途中の東陽市で食べた昼食です。 飾り気のない実質的な炒め物が多く、庶民の味といった感じです。 ピリ辛料理も含めてこれまでとちょっと感じの異なる料理。 スープにも唐辛子が入り、東坡肉も他に比べて濃い味付け。 浙江省の料理…

中国浙江省の食9(金華火腿宴)

金華火腿宴というだけあって、いろいろな料理に金華ハムが使われていました。 料理の初めに出た2つのお茶は「開化龍頂」と「千日紅仙桃」。前者は浙江省開化県で生産されている中国緑茶で、ガラスコップに80度くらいの湯を注いで茶葉を入れます。茶柱のよう…

中国浙江省の食8(金華火腿)

金華火腿(金華ハム)は、浙江省の金華地区で生産されるハムで、イタリアのパルマ、スペインのハモン・セラーノと並んで世界三大ハムの1つに数えられています。 頭と尻が黒いパンダのような「両頭烏」と呼ばれる小型種豚の後腿のみを用いて塩蔵、塩抜き、2週…

中国浙江省の食7(杭州の名物料理2)

日本調理科学会九州支部主催の研修旅行、杭州1日目の夕食は前回の杭州料理を更にグレードアップしたような内容でした。 様々な食材が調理されて小皿に盛られた前菜がテーブルいっぱいに並びました。 これらを記録しながら食べるのはなかなか大変です。 乞食…

中国浙江省の食6(杭州の名物料理)

杭州2日目のレストランでの夕食は杭州の名物料理満載でした。 私は好き嫌いの少ない方ですが、カメムシをつぶしたような臭いの香菜(パクチー)は苦手です。中国では出現頻度の高い野菜ですが、香菜のみの料理は初めてでした。料理の中に混ざっていたらお手…

中国浙江省の食5(家庭料理)

昼食は茶農家のご主人が自ら作られるとのことであまり期待はしていなかったのですが、掛け値なしのおいしさでした。地元食材の特徴がうまく引き出され、味付けも申し分なくこれぞ家庭料理の極みだといたく感動し、「中国はどこで食べてもおいしい」と思うに…

中国浙江省の食4(龍井茶の品茶)

龍井村の茶農家で茶づくりを見学した後、グレードの異なる龍井茶の品茶(お茶を品評すること)を行いました。 品茶したお茶は明前茶と雨前茶、その中間のもので価格は1斤あたり1000元・500元・800元というもの。 少し補足すると、お茶は摘採時期による品質の…

中国浙江省の食3(龍井茶)

日本人にとってポピュラーな中国茶は、烏龍茶やプーアル茶、ジャスミン茶かと思いますが、実は、中国で最もよく飲まれているのは緑茶で、中でも龍井茶(ろんじんちゃ)は色・味・香り・形が絶品という意味の「四絶」と呼ばれ、中国緑茶の代表格ともいえる味…

中国浙江省の食2(杭州)

南宋の都として栄えた杭州(浙江省の州都)は、緑と湖と運河が織りなす風光明媚な地で、イタリアの旅行家マルコ・ポーロが「東方見聞録」の中で、「世界で最も美しく華やかな天上の都市」と書いているほどです。中でも杭州の美しさを端的に物語るのは杭州の…

中国浙江省の食1(プロローグ)

今回から浙江省(せっこうしょう)の料理に入ります。 浙江省は中国の東方中部にあり、北は江蘇省と上海市、西は安徽省と江西省、南は福建省に接し、東側は東シナ海に面しており多彩な海産物が獲れます。気候は温暖で降水量が多く山の幸にも恵まれ、さらに川…

チェコ・ポーランドの旅19(エピローグ)

ホロコースト関連の見学がぎっしりと詰め込まれた9日間の旅で悲惨な爪痕をたくさん見てきて、人間不信に陥りそうなこともありましたが、シンドラー博物館で壁一面に書き込まれた名前の展示を指さしてガイドさんが説明された「ユダヤ人を密告した人はたくさん…

チェコ・ポーランドの旅18(マリアン・コウォジェイ氏の絵)

アウシュヴィッツからの生還者であるマリアン・コウォジェイ氏による絵がビルケナウ収容所の近くにあるフランシスコ修道会の教会の地下室に展示されています。囚人たちが搬送された貨車や有刺鉄線、ベッドなども配置され、まるで収容所のような空間です。骸…

チェコ・ポーランドの旅17(アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所)

バスでオシフィエンチム(アウシュヴィッツのポーランドでの呼び名)へ行き日本人公認ガイドの中谷剛さんの案内で、まずアウシュヴィッツ第1収容所(20ha)を、その後ビルケナウへ移動し第2収容所(170ha)を見学しました。おびただしく山のように積まれた犠…

チェコ・ポーランドの旅16(ナチス・ドイツの強制収容所)

この旅も終盤に近づき、いよいよ強制収容所の見学です。 私は、アウシュヴィッツはドイツにあるのだと思っていました。アウシュヴィッツは最大の強制収容所だったというので、他と比較するためナチス・ドイツの強制収容所一覧をwikipediaで調べてみたらなん…

チェコ・ポーランドの旅15(野村路子先生のお話2)

早速、チェコ大使館をノンアポで訪問された野村先生は、日本で絵の展覧会を開きたいので絵を貸してほしい旨伝えられ、大使館を通してユダヤ博物館との交渉が始まり1990年2月に再度ユダヤ博物館へ行かれることになり、そこでのやり取りで原画を持ち出すのは難…

チェコ・ポーランドの旅14(野村路子先生のお話1)

旅も終わりに差し掛かったアウシュヴィッツ見学の前日、各自夕食を終えた後野村先生よりテレジン収容所の子どもたちの「絵」との運命的な出会いからこれまでの経緯を伺いました。 実は、この旅行が終わってから撮影が始まり6月9日に放映された番組、NHKの…

チェコ・ポーランドの旅13(白貂を抱く女、シンドラー博物館等)

午後、国立美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチ作「白貂を抱く女」を鑑賞しました。この旅行に参加するまで私はこの絵の存在すら知らなかったのですが、ダ・ヴィンチが描いたとされる女性肖像画4点のうちの1点だそうです。モデルはミラノ公ルドヴィーコの愛妾…