モンゴルの食文化1(プロローグ)

         

  モンゴルの国旗は、赤・青・赤の順に並び、左側の赤字に黄色い模様が配されています。この模様、私は騎馬民族の騎兵を抽象化したデザインかと思っていたのですが、かつてモンゴルで使われていたソヨンボという文字で、上から火・太陽・月・矢・槍・長方形・巴を表現しているのだそうです。

 大草原と遊牧の国モンゴルへ旅したのは1995年8月、今から28年前。モンゴルの力士が日本の相撲界を席巻する時代が来る等想像もできなかった時代です。当時の私は、モンゴルといえば、星がきれいに見える国というイメージが強く、旅行に先立って購入したのは星座表。草原に寝転がって満天の星を眺めたいというのが旅の目的の一つという、何ともお粗末な動機で参加した旅行でしたが、翌年調理科学会九州支部会で図々しくも「モンゴルの食生活に触れて」と題して講演し、海外旅行で最も忘れられない印象深いものになりました。講演ではたくさんのスライドを使って1時間くらい話したのに、退職時に処分してしまったらしく、手元に残ったイラスト記録だけが頼りという覚束ないものですが、簡単なメモから記憶を手繰り寄せながらモンゴルの食に迫ってみたいと思います。

 これまで旅した海外の中で最も異色だったのがモンゴルで、当然食べ物の異色さも群を抜いていました。