中国浙江省の食3(龍井茶)

 日本人にとってポピュラーな中国茶は、烏龍茶やプーアル茶ジャスミン茶かと思いますが、実は、中国で最もよく飲まれているのは緑茶で、中でも龍井茶(ろんじんちゃ)は色・味・香り・形が絶品という意味の「四絶」と呼ばれ、中国緑茶の代表格ともいえる味わい深いお茶です。

 杭州は、龍井茶の産地としても名高く、特に西湖のほとりの龍井村で作られる西湖龍井茶は銘緑茶として有名です。

 龍井茶は茶葉を陰干ししてから、高温に熱した鉄釜で煎る釜炒り緑茶で、茶葉を炒る際に釜の内側の縁に手で押し付けるようにして揉むことで扁平形になります。

  

 手で押し付けるようにして茶葉を炒っているところ、炒る前の香りをかいでいるのは私です。

         

 こんな感じに平べったくなります。日本の緑茶に比べてやや黄みがかっていて、初めて龍井茶を見た時保存状態が悪くて変色したのかと思ったくらいです。

 日本と中国の緑茶は製法が違い、味わいや香りが異なります。日本の緑茶は蒸製法で、緑色が鮮やかでやや渋みがありますが、中国緑茶は釜炒り製法のため渋みが少なく独特の香りがあります。

 一般的に中国茶は香、日本茶は味重視で、お茶を淹れるときの温度も中国茶は高温の湯で淹れて香りを楽しむのに対して、日本の緑茶は高級なお茶ほど低めのお湯で淹れうまみを賞味します。

 中国茶の値段は茶葉の産地や採取時期・部位によってかなり異なり、当時物価の安かった中国でもこんなに高いの!と驚くことが多々ありました。清明節前に手摘みで採取した茶葉で作った西湖龍井茶は超高級品として扱われ、さすがに購入はあきらめました。お茶の価格はピンキリで、高すぎて25gしか買えなかったお茶もあったなあと、中国茶にはまっていた頃のことを懐かしく思い出しました。