アメリカの食文化15(ヨセミテ)

 世界自然遺産に登録され、東京都の1.5倍というヨセミテ国立公園は広大過ぎて、2泊してもほんのちょっとしか見たことになりません。いわゆる見どころといわれるマリポサの巨大森林、世界第2位の落差(739m)を誇るといわれるヨセミテ滝、エル・キャピタンの一枚岩を中心に見学しました。

 中でも最も目に焼き付いているのがエル・キャピタンの一枚岩です。花崗岩の一枚岩としては世界一の大きさで、渓谷の谷床からは約1000m、ロッククライミングの名所として知られています。1枚岩を下から眺めていたら豆粒みたいなロッククライミング中の人間の姿が見えました。訓練を受けた人にしか許可されていないそうで、頂上にたどり着くには4~5日かかり、その間、ぶら下がったまま食事や睡眠、排泄も行い(そんな姿は想像できませんが)、落ちたらビーフジャーキーならぬヒューマンジャーキーになるのだといわれ、どうしてこんなスリリングなことに挑戦するのか、不思議です。

 エル・キャピタンのロッククライミングについてもう少し敷衍します。この分野では誰もがその名を知るアレックス・ホノルド氏は2012年には、登攀に2時間23分46秒の最速記録を打ち立て、さらに2017年には安全用の道具もロープも使わず3時間56分いう偉業を成し遂げ、この挑戦に密着したドキュメンタリーが、映画『フリーソロ』として翌年公開され、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞をはじめ、2018年トロント国際映画祭、2019年英国アカデミー賞ドクメンタリー賞)など、 20以上の賞を獲得したのだとか。怖いもの見たさで見たい気もします。

 こんな風に、エル・キャピタン一つとってもエピソードに事欠かないヨセミテ。日本ならこれらにちなんだ料理が手を変え品を変え作られると思うのですが、ヨセミテでの夕食2回分は、どこにでもありそうな何の変哲もない料理でした。

 

 カリフォルニアでは、近年記録的な旱魃で大規模な山火事が発生し、そのたびにヨセミテ国立公園に思いを馳せます。被害が出ないようにと祈る思いです。