チェコ・ポーランドの旅19(エピローグ)

 ホロコースト関連の見学がぎっしりと詰め込まれた9日間の旅で悲惨な爪痕をたくさん見てきて、人間不信に陥りそうなこともありましたが、シンドラー博物館で壁一面に書き込まれた名前の展示を指さしてガイドさんが説明された「ユダヤ人を密告した人はたくさんいましたが匿った人の方が断然多いのです」の言葉に救われるような思いがしました。

 多くのユダヤ人を救った人物として杉原千畝オスカー・シンドラーの名前はよく知られていますが、命がけで救った名もなき人々がこんなにもたくさんいたのだと深い感動を覚えました

 8月は戦争に関する番組が多く放映されますが、先日もナチス占領下で身の危険を冒してまでもユダヤ人の子供たちを救ったフランスの鉄道員の行動が紹介されていました。歴史のかなたに埋もれようとしているこうした救出劇は数えきれないほどあるのでしょう。

 以前、「命のビザを繋いだ男」(著者は俳優杉良太郎の子息山田純大氏)という本を読んだことがあります。杉原千畝が発給した「命のビザ」で日本に逃れたユダヤ難民6000人のために、命を賭して救いの手を差し延べたヘブライ語学者の小辻節三の生涯を描いたもので、この人がいたから杉原千畝の「命のビザ」が完結したのだと思うと感慨深いものがありました。

 戦争に関して様々なことを考えさせてくれたチェコポーランドの旅、まさか3年後に世界史を大きく変えるような戦争が起こるなんて予想だにしなかった頃です。

 最近は、いつ何が起きるかわからない、先延ばししないで行けるときに行っておこうと思うようになりました。この思いは年齢的なこととも関係があるのですが。

 次回からまた中国料理(浙江省)に戻ります。海外で一番おいしい国の料理はと聞かれると私は中国と答えます。処理水の放出をめぐる中国人の理不尽な迷惑行為をみると忌避感は募りますが、だからといって中国料理やーめたという気にはなれません。おいしいものは敵味方・国境を超えて受け入れることが出来るものだと思っています。