モンゴルの食文化5(白い食べ物3-スーティツァイ-)

 スーティツァイは一言でいえばモンゴルの塩入りミルクティー。モンゴルではどこでも日常的に飲まれているお茶ですが、モンゴル滞在中口にしたのは、家庭を訪問して作り方を見学した時だけです。

 たっぷりの湯で茶葉を煮出し、牛乳と塩を加えて、杓子ですくって上から落とすようにして撹拌しながらよく混ぜて作ります。ミルクも塩味も薄めのあっさりとしたお茶でした。

 お茶は、レンガ状に固められた団茶を削ったものを使います。団茶を用いた塩味の茶「チャイ」といえばチベットのバター茶がよく知られています。こちらは牛乳ではなくヤクのミルクで作ったバターを用いますが、共通点が多いようです。

 ところでチャイに使われるお茶は香り高いいわゆる高級なお茶ではなく、ダストと呼ばれる細かな形状の茶葉です。短時間で濃く淹れられるのですが、苦みや渋み等の雑味があるため、ミルクや砂糖、スパイスを用いています。

 インドの「チャイ」はコクと甘みが強いのが特徴で「激甘スパイスミルクティー」、トルコはミルクを使わず「激甘ストレートティ」、モロッコはミントの葉と砂糖を入れたもの、ロシアは砂糖の代わりにジャムをなめながら飲む等ひとくちに「チャイ」といっても様々。世界の「チャイ」を比べてみると、その国の歴史や気候風土に根ざしていることがわかり興味深いものがあります。