チェコ・ポーランドの旅14(野村路子先生のお話1)

 旅も終わりに差し掛かったアウシュヴィッツ見学の前日、各自夕食を終えた後野村先生よりテレジン収容所の子どもたちの「絵」との運命的な出会いからこれまでの経緯を伺いました。

 実は、この旅行が終わってから撮影が始まり6月9日に放映された番組、NHKの「こころの時代~宗教・人生~」シリーズ「テレジンの絵は語り続ける」がとても心に響く内容でしたので紹介します。

 1時間近い番組ですので、かなり端折りますが骨子だけでも伝わればと思います。

 1989年2月に娘さんの卒業旅行に同行され、初めて訪れたアウシュヴイッツで言葉にならない程の衝撃を受け、次に立ち寄ったプラハの「ユダヤ人博物館」で偶然その絵に出会われたそうです。何気ない日常生活を描いた絵の中にあった、心を突き刺すような恐ろしい絵。胸にダビデの星が描かれている服を着た男性が今まさに首を吊られようとしている人の絵、それを遠くから眺める男の子…「大変なものを見た」という思いとともに、幼い頃の娘さんが、背骨の異常で苦しまれていた時ひたすら黒のクレヨンで骨の絵を描かれていた記憶がよみがえり、テレジンの子供たちの絵と重なったと我が事のように語られました。何とか手に入れたフランス語のパンフレットに書かれていた内容に突き動かされてもっと見たい思いが強くなり、プラハにいた4日間毎日通われ、これらの絵を日本で紹介するという自分のやるべきことが見つかったのだそうです。

 帰国後、絵の展覧会開催に向けて走り出されるのですが、野村先生の行動力には脱帽というほかありません。

 1991年に『テレジン収容所の幼い画家たち展』全国23か所での開催に至るのですが、それについては次回に。