中国雲南省11(西双版納5)

 雲南省は高温多湿で発酵食品を作るのに適した地で、発酵食品のルーツともいわれ、魚のなれずし、納豆味噌、プアール茶、雲南火腿(ハム)などが有名です。

 なれずしは淡水魚を塩と飯で発酵させたもので寿司の原型といわれ、日本には稲作とともに伝播したといわれています。穀類の乳酸発酵を利用した魚の長期保存法で、日本にも琵琶湖周辺で作られる「鮒ずし」や北海道から北陸にかけて作られるハタハタや鮭をつけた「いずし」、金沢のブリと蕪を漬けた「かぶらずし」などがあります。鮒ずしの臭いは強烈で、在職中、学生にふるまって総スカンを食らった経験があります。冷蔵庫に入れていたら、腐っていると思われ捨てられた等の話も聞きました。

 中国雲南省南部の少数民族地域や、タイの東北部では、いまもこの形のなれずしが作られ、自由市場でも様々な種類の発酵食品が売られていました。この地域では日本と同じように、納豆や魚醤をつくる習慣もあるそうで、文化的にも共通項が色々と見られ、日本の食文化の源流を見る思いがします。

 

 タイ族の村「曼乱点」で、なれずしと納豆味噌づくりを見学した後の昼食は、各種肉類と野菜、キノコを用いた料理でした。せっかく作り方の見学をしたのですが、なれずしはレストランで出る料理ではないのか、雲南省では一度も口にしたことはありません。

 また、海に面していないので魚介類の料理がほとんどないのも雲南省の特徴かと思います。