終わりに当たって

  出産以来、初めての入院生活、それも3か月で2つの病院食を経験するという幸運?に恵まれました。

  昨年11月25日から半ば暇つぶしで始めた「病院食」のブログは、すぐに種が尽きると思っていたのに思いがけず長続きし、今回で70回目。終わりに当たって、気が付いたこと・思うこと等を挙げてみます。

  身近な料理のためか、海外旅行編より興味をもっていただき、中には「もみじ麩」を買った、ネットで「干し網3段」を買って野菜を干した、夕食の献立の参考にした等実用面での役立ち情報にもなったようです。

 入院するときは、イラストで記録することなど考えてもいなかったのですが、友人に勧められてシールも色鉛筆も送ってもらうということになりました。入院中誤作動か何かで火災報知機が鳴った時、真っ先にバッグに入れたのは財布ではなくこのイラストシールでした。私にとってそれほど大切なものになっていました。

  私が入院した病院の食事が美味しかったのか、「病院食」が昔に比べてレベルアップしたのか、「病院食」はまずいという思いこみは覆されました。

1.病院による特徴

 2つの病院はそれぞれ異なった特徴がありました。

A病院は適温で供され、皿数が多く(5または4)一皿の量は少なめでやや盛り付け重視。

B病院の皿数は4または3皿ですが、たっぷり感があり実質的。

⓵A病院ではよく出るがB病院では一度も出なかったもの:漬物(柴漬け6回、高菜漬け・刻みたくあん各4回、きゅうり漬け3回、福神漬け1回)や昆布の佃煮2回、冷凍マンゴー5回

⓶B病院ではよく出るがA病院では一度も出なかったもの:デザート菓子(水ようかん・桃ゼリー・プリン各2回、ババロア・ミルクレープ・コーヒーゼリー各1回)、中国点心(餃子4回、春巻き・シューマイ各2回)

 両病院で共通していることは、喫食者への心配りです。魚の小骨が抜いてあること、バナナの皮に切込みを入れて剝きやすくする、手術後は食べやすいよう串に刺す等です。

2.好きな献立ベスト3(順不同)

  抹茶塩をつけていただく天ぷらと焼きナス、それに煮物の組み合わせが好きでした。

  毎月1日に出される「1日膳」の献立は入院患者にはとても楽しみな献立です。

 「 成人の日」の献立は若者向きで、思わず二十歳の頃を思い出しました。

3.大変だったで賞

  手間のかかる代表料理ともいえる「ちらし寿司」と「茶碗蒸し」の組み合わせに加えて、「煮しめ]も炊き合わせのように丁寧に盛り付けられ、「水ようかん」も切り口がきれいでした。心をこめないとできないことです。

4.小道具大賞

  鶴の飾りはイラストで上手に描くことはできなかったので写真を掲載します。これ一つで瞬時にお正月!を実感して、いたく感動し3日間の朝、昼、夕食をブログにあげる決意をしたほどです。大切に持ち帰り、飾っています。

5.リピート最多賞

主菜:麻婆豆腐・鮭のマヨ焼き各3回  

副菜:大根葉のピーナツ(クルミ)和え・冬瓜の煮物各5回

 副菜は、同じ食材でも調味料や調理法を変える等でマンネリにならないよう工夫され、その種類はA病院100種類余、B病院150種類余。B病院は2か月余りの間、3回以上のリピート副菜は2割程度でした。

リピートというわけではないのですが、餃子(4回)、春巻き・シューマイ(各2回)、チキンナゲット(3回)のこれらの下には全てサニーレタスの細切りが敷かれていたことも興味深いことでした。

6・待ち遠しかった料理

 一汁○○菜という献立より、一品料理的な麺類やご飯ものの方が楽しみでした。病院なので一品ではなく副菜やフルーツ付きでしたが。

麺類:きつねうどん3回、そば・ちゃんぽん各2回、皿うどん・焼きそば各1回

ご飯もの:カレー・三食丼各3回、親子丼2回、オムライス・ハヤシライス各1回

その他:ビーフシチュー、グラタン、おでん、お好み焼

 

 余談ですが、退院後1か月経過し、体重はほぼ維持しています。料理を盛り付けるたびに、病院食を思い出して調節していますし、間食の欲求もなくなり、入院の副産物は結構大きかったと思います。

 私は栄養士として働いた経験はありませんが、栄養士資格取得のため学生時代病院で実習した経験があるため、患者の側と同時に作る側の立場にもなっていたような気がします。

 入院患者にとって最大の楽しみの食事作りに携わっておられる方々や栄養士の卵として日々勉学に励んでおられる方々へエールを送りたい気持ちでいっぱいです。

 多種多様な料理のイラストを見ると、海外ではどんな病院食が出るのかしらと興味がわきます。ちなみに30年位前米国研修旅行の引率をした時、食あたりでおなかを壊した学生に勧められたのが飲み物(コカ・コーラ)とゼリーでした。日本だったらおかゆかなと思うのですが。

 海外の病院食に興味はありますが、体験の可能性はほぼゼロ。

 そんなわけで、次回から海外旅行中の料理に戻ることにします。