コンソメスープ

コンソメスープ」は固形または顆粒コンソメを溶かして作ることが多いと思います。これは、すまし汁の出しをとるのに、昆布と鰹節を使うところを「だしの素」で済ますのに似ています。何のこと?と思う人がいるかもしれませんね。

実は、本格的な「コンソメスープ」は牛すね肉、玉ねぎ・人参・セロリ等の香味野菜、ローリエ・パセリの軸等の香草を加えて長時間煮込んで作るのです。スープを澄ますためアクを吸着する卵白も加えます。

シンプルですが、肉と野菜の旨味が凝縮された贅沢の極みともいえるスープなのです。

息子が小学低学年の頃、本物志向が働いて「コンソメスープ」を作った時の話です。

「今日は美味しいものを作るからね」と言って見せた牛肉の塊がよほど楽しみだったに違いありません。それなのに、食卓に着いた時料理を前にして元気がないのです。「どうしたの?熱があるんじゃないの?」と手を額に当てるのですが、そんな兆候もありません。そのうち、スープを作った鍋を指指して、あの中に何が入っているかと聞くので、見せたところ「僕これが食べたい」の一言。旨味の少なくなった出し殻のような肉を簡単に焼いて食べさせたところ、元気を取り戻し一件落着。

育ち盛りの子供には、旨味たっぷりの液体よりは肉の塊でした。そんなことにも気づかず、バカだったなあとつくづく思います。

「わが家からコンソメスープが消えた日」と呼んでいます。

また、「コンソメスープ」は長い間調理実習の教材でもありました。

「自分で作れるため」というよりは「本物の味を知る」というのが目的でした。本格的な「コンソメスープ」は材料費も手間もかかるため高価です。味わってそれに見合う金額だと納得できる判断力も必要と思ったのですが、真意をくんでもらえたかどうか疑問です。

一方で、益々簡便化が進む中、果たしてこんな教育をしてよかったのかという疑問もわいてきます。

コンソメスープ」は「クリスマスイブの昼食」と「酢鶏」でも出ているので今回は別の献立2つを選びました。

スープは浮き身として野菜の千切りが入った「コンソメジュリアン」です。ジュリアンはフランス語で「女性の髪のように細い」という意味から千切りのことを言います。実習の時は極細の千切りそれも長さを揃えるよう指導していたと思います。

主菜の「豚肉の生姜炒め」は「生姜焼き」と異なり、細切れのような薄い豚肉でもよいので手軽で、ご飯との相性も抜群、家庭の定番料理です。

このスープも「コンソメジュリアン」です。

主菜の「枝豆とエビの小判揚げ」、名前は知らなくてもほとんどの人は食べたことがあると思います。魚のすり身を小判のように整えて揚げたもので、おでん種としてもよく見ます。今回は枝豆とエビ入りでしたが、ゴボウや蓮根入りもよく見ます。

 

ちょっと高級なレストランで「コンソメスープ」をいただく機会があったら、このブログを思い出していただくと嬉しいです。