ベトナムの食文化8(エピローグ)

 限られた日数の中で食したわずかな料理でベトナムと日本の違いを比較するのはちょっと乱暴な気はしますが、何となく感じたことをいくつか挙げてみます。

 

 ベトナムは米生産量世界5位(日本は12位)を誇る国で、米を麺や春巻きの皮などに加工したものが多く、米粉で作る麺のフォーはベトナム国民食ともいえるほどです。日本もベトナム同様米の収穫は多いのに、そうめんやうどんは小麦粉から作られます。小麦は国内需要の8割以上を外国から輸入しているというのに、、、コメ生産に適した風土なのだからコメ余り政策として減反などしないで、もっと加工品として活用できないものかと思います。そのためには、私たちの食習慣や食行動を変えることも必要ではありますが。

 

 次に感じたことは、春巻きやバインセオのように包んで食べるものが多く、食べる人が好みの具材を包み、好みのタレをつけて食べるというある意味で食べる人のお好みでどうぞといったスタイルです。また、ご飯の上に様々なおかずをのせ混ぜて食べるのがベトナム流というのをテレビで見たことがあります。どちらも、味覚のハーモニーを奏でるのは食べる人ということになります。

 それに比べ、日本料理の場合は、料理人によって完成された料理、別の言い方をすれば押しつけ型といえるのかもしれません。出された料理が好みの味ではないからといって、食べる人が調味料を加えたりはしませんよね。

 ベトナムの料理は自由度が高く参加型、日本料理は完成度が高く押しつけ型といっては言いすぎでしょうか。

 

 また、盛り付けの美しさにも違いがみられます。ベトナムは、やや中国料理的な盛り付けで、大皿盛りが多く、野菜や果物の細工もスケールが大きいのに比べ、日本料理は松花堂弁当に見られるようにチマチマとした箱庭的な美しさ。

 

 プロローグでも書いたように、南北に細長く、北は中国、西はラオスカンボジア、東は南シナ海に囲まれ、歴史の様々な交流点となったベトナムは、食においても様々な文化が混ざり合った興味の尽きない国で、3泊4日はやはり短すぎる感は否めません。特に、屋台や市場を中心とした庶民の食にはほとんど触れていないため、心が残りもう一度行ってみたい思いに駆られます。

 

 次回から、ベトナムと戦争したアメリカです。