アメリカの食文化1(プロローグ)

        

 初めてのアメリカは、1991年、英語科の学生28名の5週間にわたる米国研修旅行の引率でした。

 英会話力に乏しい人間が言葉に不自由を覚える国への引率は気が重く、寡黙な5週間を余儀なくされるだろうという不安は杞憂に終わりました。苦笑物の英語の連発の中に時には高度な表現も出るらしく、その落差がおかしいと学生たちに笑われましたが、会話らしきものが成立した喜びも味わえました。

 ワシントン経由で行き、ジョージア州のメイコンにある姉妹校で4週間近くの研修、帰りはサンフランシスコ、ヨセミテ観光というスケジュールで、研修中は大学の学生寮に宿泊し、食事は大学の食堂でカフェテリア方式というものでした。

 フィールドトリップやホームスティ先での食事も加わり、5週間の食事イラストはシール107枚にも及びました。当時の研修や学生たちの様子も割と克明に記録していますので、その中からできるだけアメリカらしさを感じられる食べ物やエピソードをピックアップしてみたいと思います。

 なお、2012年のハワイ、2019年のシアトル・バンクーバーも、合衆国、北米というくくりで取り上げたいと思います。