フランスの食文化14(ルーアン)

 モン・サン・ミッシェルを見てパリに帰る途中夕食をとるためルーアンに寄ったのですが、この地はジャンヌダルクが19歳で火刑に処せられた地として有名です。

 比較的リーズナブルな旅行費用は食事内容にも反映されていて、先に訪れたドイツやスイスは、もともとグルメは期待できない国として、こんなものだろうと納得はしていたものの、「ちょっとねー」という食事が続いていただけに、ルーアンでオードブル(サーモンのテリーヌ)、肉料理(鴨のオレンジソース)、デザート(クレープ)が出てきた時は思わず「ようやくフランス料理らしい食事」と思ったのです。

 ちなみに、ドイツでは主菜はロールキャベツやローストポーク、ソーセージなどで、付け合わせはミックスベジタブル、ザウアークラウト、マッシュポテト、茹でたジャガイモ、人参、プロッコリー、カリフラワーといったシンプルなもので、それに、家庭的な野菜サラダやスープがつくというもの。

 スイスで出されたペンネとハムのクリーム和えと豆のスープは塩辛くてがっかりさせられ、フランスの次に行ったロンドンも似たようなもので、これに関して思い出すのは以前読んだ雑誌の中の「ヨーロッパを全体的にみると、カトリック系の国々(フランス・イタリア・スペイン・南ドイツ)では食事はおいしく、プロテスタント系の国々(イギリス・オランダ・北ドイツ・北欧三国・デンマーク)ではまずいという傾向がある」というくだりです。

 食文化誌vestaに3回(78,79,80号)にわたって「イギリス料理はなぜまずくなったのか」という特集が組まれ、その中で、まずくなった原因説(仮説)として挙げられた6項目の中の一つ「宗教原因説」の冒頭に書かれていたもので、説得力ある興味深い内容なのですが、長くなるので別の機会に譲ります。