ベトナムの食文化1(プロローグ)

          

 ベトナムといえば1955年~1975年まで20年間続いた「ベトナム戦争」が条件反射のように頭に浮かびます。

 私が大学生だったころ(1964~1968年)反戦デモに参加する学生の姿をよく目にしましたが、当時ノンポリ(政治に無関心なという意味で、今では死語になっているかもしれません)学生だった私は恥ずかしながら問題意識は小さく、のほほんと過ごしていました。

 その後、枯葉作戦などベトナム戦争の悲惨さを伝える数々の非人道的な事柄を知るにつれ、忸怩たる思いが募り、ベトナムへの旅は避けていたように思います。

          

 ベトナムは南北に細長い形をしており中国・ラオスカンボジアと接しています。

 ベトナム料理は東南アジアの気候風土に根差した料理に加え、隣接した中国や植民地統治時代のフランスの影響も受けており、食文化の点で興味深い国です。比較的日本人の口に合うといわれ、一度はその味を確かめてみたいと思いながらも、ベトナムへ旅するのは長い間ためらいがあり、ようやく実現したのが戦後40年近く経った2013年でした。

 3泊4日という短い期間で、しかもホーチミン(旧名サイゴン)だけという地域限定の旅でしたが、料理だけでなく、ベトナム戦争が想像をはるかに超えた戦いだったことも知ることとなり、中身の濃い旅でした。