フランスの食文化5(ニースの海岸、ネグレスコホテル)

 ニースは、コート・ダジュール(紺碧海岸)に面する世界的にも有名なリゾート地です。紺碧の海と空が広がるニースの海岸の写真を見るだけでも旅情を誘われます。夕食までの間、数人でホテルの目の前にある海へ出かけました。海水浴を楽しもうと意気込んだものの、思ったより波は荒く日本の砂浜のような細かい砂ではなく、海水浴を楽しむ所ではないなあというのが実感でした。

 夕食は南仏を代表する老舗のネグレスコホテルというので、みんなここぞとばかりすごいおめかしをしていました。

 料理もご覧の通りヌーベルキュイジーヌスタイルの洗練されたものでした。

 オードブルは、サーモンのテリーヌ、ポレンタとロブスターのミルフィーユ、鴨内蔵のレバーで、いずれもフランス料理の手法が遺憾なく発揮されたものでした。

 スコティッシュサーモンはスコットランドで育てられたサーモンで程よい脂と鮮やかなピンク色が特徴といわれています。ニース風といえばサラダが有名でいずれ登場しますが、ここではトマトソースの使用がニース風ということなのでしょう。

 肉料理はスライスポテトをずらして焼いたものの上にほうれん草を詰めたラム肉をのせたもの、デザートはムース、アイスクリーム、飴細工と、盛り付けも含めて細かい作業が要求される料理です。

 当時の記録によると「『料理は素敵でした』と言えるものだったが日本でもこのくらいの料理はいくらでも食べられるような気がする。洗練さでは日本の方が上のように思われる」と何とも強気な表現ですが、ヌーベルキュイジーヌスタイルが日本の影響を受けたということを考えれば満更大げさとはいえないのかもしれません。