韓定食4‐3

 イシモチは、韓国人が好きな魚の一つです。

 塩焼きは頭が左に置かれていたので、宮廷風ということでしょう

 

 汁物2種類に鍋物のチゲ!

 

 スジョンガは生姜とシナモン、干し柿で作る甘い韓国の伝統茶で食後のデザートとしてよく飲まれ、夏バテや風邪予防などの薬効もあるそうです。

 韓国は「薬食同源(食べ物は薬である)」の考え方が根付いていて、料理だけでなく飲み物も健康につながるものが多く、すでに紹介した梅茶(メシルチャ)や五味子茶も薬効があります。

 

 ムール貝は、これまで何度も食あたりしたことがあり、トルコではそれがたたって数日間食欲がなかったつらい思い出があるので、気を付けていたのですが、この時の料理は全体にとても上品だったせいもあり、普段は敬遠するムール貝を躊躇なく食べ、案の定やられてしまい、翌日は一日中食欲がなく残念な思いをしました。

 

 以上、4回分の「韓定食」を紹介しましたが、韓国の料理数の多さ、納得していただけたのではないでしょうか。

 次回から別の定食を取り上げますが、これとて料理の皿数が多いことに変わりはありません。

 

 

韓定食4‐2

 ここでも宮廷料理の神仙炉とウナギのかば焼きが出ました。

 カニの醤油漬け、クラゲの辛し和え、どちらも高価な食材ですから美味しかったと思うのですが、記憶にあるのは恐る恐る食べたエイです。

 カンギエイを発酵させた「オンオフェ」と呼ばれるこの料理、強烈なアンモニア臭があり世界で2番目に臭い食べ物といわれています。

 日本で臭い食べ物といえば「クサヤ」や「鮒ずし」が浮かびます。学生に鮒ずしを試食させたとき「人間の食べるものとは思えない」と不評を買いました。冷蔵庫に入れていた鮒ずしが、腐ったものと間違われて捨てられたという話も耳にしました。こんな鮒ずしよりはるかに臭いというので、かなり覚悟をしたのですが、覚悟が強すぎたせいか、ちょっとしか口にしなかったからか、本当に癖がなかったのか定かではありませんが、「クセが少ない」と記述しています。

 世界各国には臭い食べ物がたくさんありますが、人間はどうしてこのようなものを好んで食べるのか、不思議です。

 以前、ドリアンの強烈な臭いについて触れましたが、そのうち中国や台湾で食べた臭豆腐も登場します。

 

韓定食4‐1

 2014年に韓国料理研究家の先生がコーディネート・引率して下さった「韓国食の旅」では4日間という行程の中に「韓定食」「マッコリ定食」「塩辛定食」「竹筒ご飯定食」「しじみ汁定食」といった特徴的な定食が盛り込まれていました。

 順次紹介しますが、ここで紹介する韓定食は上品な伝統的韓定食といった感じです。

 ご飯を含めると28種類にもなり、これで5000円?とびっくりするほどの内容です。

 4枚のシールに収めていますので数回に分けて見ていきます。

 白菜のキムチは、一般的なものと水キムチです。

 クチナシで色付けした緑豆のムクもカボチャ・スケソウダラのジョンも盛り付けがとてもきれいで上品な味わいでした。

 黒ゴマ粥は黒ゴマと米をミキサーにかけたものを煮込んだとろとろスープのような感じで、日本のおかゆと食感は異なります。これも宮廷料理でよく出されます。

 雑菜(チャプチェ)も韓定食3‐1のものに比べるととても上品で、堂々たるおもてなし料理になります。

 刺身は韓国の人が最も好むというヒラメです。

 プルコギは日本でいう焼肉。日本でなら、せいぜい焼肉とキムチくらいの組み合わせかと思いますが、28種類の中の一つですから何とも贅沢な韓定食です。

 

 

韓定食3‐2

 焼肉以外は、キムチ、ナムル、きんぴらごぼう風等家庭の常備菜といった内容です。

 「石焼韓定食」なので、石焼飯が主役なのでしょうか。大豆とカボチャが入っていました。

 魚・野菜の煮物、焼き魚、みそ汁といった日本でもおなじみの家庭的な料理が並んでいます。

 魚の塩焼き、日本なら基本的に頭を左に向けますが、韓国では右向きが多く、メモするたびに違和感を覚えます。韓国料理研究家の先生に聞きましたら、宮中料理では頭を左というのが多いとのことで、宴席の種類によっても違うようです。

 日本でお茶といえば、緑茶、麦茶等甘くないものが普通ですが、韓国では、柚子や梅、かりんといったフルーツを使った甘い飲み物がよく出てきます。梅茶(メシルチャ)は日本でよく作る梅ジュースみたいなもので、食後によく飲まれます。

 韓国にも緑茶はありますが、私は韓国で緑茶を飲んだ記憶がほとんどありません。韓国の方に聞いたら、紅茶やコーヒーの感覚で緑茶に砂糖を入れることもあるそうです。

 その関連で思い出すのは、中国で飲んだペットボトル入りの緑茶が砂糖入りで甘かったことです。ドリンクとして飲用するときはジュース感覚なのかなと思ったりします。

韓定食3‐1

 次に登場するのはとても庶民的な韓定食です。

 2009年にゼミ研修旅行で釜山に引率したとき、短期間で韓国の料理をいろいろ経験させたいというわけで、昼食はチヂミや、クッパ、焼肉、冷麺等日本でもなじみのある料理、夕食は韓定食にしたのです。

 限られた旅行費用ですからいわゆる高級食材はなく、イラストも宮廷風に比べるとかなりおざなりですが、料理レベルのためというより、慌ただしい旅行の最中の記録だったからのような気がします。

 キムチ、サラダ、煮物、ジョン等韓国の家庭料理が垣間見えるような内容です。

 チヂミ、ハンバーグステーキ、生春巻き等若い人好みの料理が並んでいます。

 雑菜(チャプチェ)は名前の通り幾種類もの野菜と牛肉を別々に炒めてから春雨とともに混ぜ合わせた家庭料理で、気の利いたおもてなし料理にもなります。

 雑菜のことをもっと知りたいためだけに韓国に行った時、姉妹校の先生から「贅沢な旅行ね」と言われたのを思い出します。

 この時はイラストを残していないので、旅行一覧表には入れていません。

 材料をすべて千切りにし、別々に炒めるので手間はかかりますが、韓国の春雨が手に入ったら必ず作る一品です。

 

韓定食2‐4

 最後を締めくくるのは神仙炉と冷麺。どちらもこれだけで主役になりそうな一品です。

  神仙炉(シンソンロ)は宮廷料理や伝統韓定食の中でも代表的な人気メニューです。五味五色を基調としたさまざまな山海の食材を丁寧に下ごしらえして神仙炉という鍋に盛り、牛肉のスープを入れて煮て食べるもの。

 韓国ドラマ「チャングムの誓い」でも見たような気がします。

 今度食べるときは漫然と食べないで心していただきたい料理です。

 

 冷麺が北朝鮮発祥と知ったのは、文在寅元大統領が金生恩総書記を訪問した時にふるまわれているのを見た時です。

 今では平壌冷麺、咸興冷麺、晋州冷麺等地域によって麺やスープの材料、トッピング等様々で、日本におけるご当地ラーメンみたいなものかと思ったりします。

 盛岡にいる学生時代の友人と一緒に食べた盛岡冷麺も忘れられないおいしさでした。北朝鮮の冷麺がアレンジされたという盛岡冷麺誕生の話、調べてみると面白そうです。

 余談ですが、小倉で冷麺を食べた時、スプーンでスープをすくっていたら、お店の方に「器を手にもって口をつけてすする」のだと教えられびっくりしました。

 韓国では食器を手にもって食べるのはマナー違反とされていますが冷麺に限って許されるのかも。

 韓国の知人に確かめたら、「スプーンよりは器ごといただく方が美味しそうだからだと思いますよ」とのことでした。

 日本では、ラーメンのスープは散蓮華を使うので、その感覚だったのですが。

 こんなところにも韓国と日本の違いを感じます。

 

韓定食2‐3

 煎(ジョン)は薄くスライスした肉や野菜などに小麦粉と溶き卵をつけてフライパンで焼くピカタのような料理で、チヂミと似ていますが、チヂミはいろいろな具材を小麦粉生地で混ぜて焼いているので、ジョンのように材料の形は残りません。

 冷蔵庫に残った材料で手軽にできるお助け料理として我が家でもよく登場します。天ぷらより簡単で楽な上、色とりどり並べるとおごちそうに見えるし、栄養面でも味の点でもお勧めしたい料理です。

 

 日本でコース料理に熟柿を見たことはありませんが、韓国の熟柿なら高級なテーブルに出ても決して引けを取らない気がします。

 2014年秋に訪れた時、市場の中で見た熟柿があまりに美しくおいしそうで、連日のおごちそう続きで熟柿の入る余地はないにもかかわらず、思わず手が伸びたほどでした。

 

 五味子は名前の通り5つの味を持つ実で、五味子茶は飲む人の体調によって感じ取れる味が異なるそうで健康志向の人には魅力的なお茶です。

 例えば、心臓機能が低下していたら苦みを感じる等、同じ五味子茶を飲んでも味の感じ方が人それぞれ異なるなんて不思議ですが、お茶で体調の変化に気づけるなら便利な飲み物。五味子が手に入ったら試してみたいと思っています。