フランスの食文化19(エピローグ)

 フランスの料理に触れて感じることは、フランス料理がイタリア料理を原型としているため、献立構成など若干似たところはあるものの、料理自体はかなり異なり、その違いを特徴づけているのはソースではないかということです。今回取り上げた料理でも、オードブル、メインディッシュ、デザートにいたるまで、様々なソースが使われており、「フランス料理はソースで食べさせる」を納得した次第です。

 フランス料理といえば、「ソース」といわれるほどソースの重要度は高く、種類も様々あり、細かいものまで含めると数百種類もあるといわれています。

 フランスにおけるソースの種類の多さについては、タレーランが語ったという「イギリスには2つのソースと300の宗教がある。しかるにフランスは、宗教は2つきりだが、300以上のソースがある」を思い出します。

 タレーランフランス革命からナポレオン時代にかけて、フランスの政治と外交に大きな影響を与えた人物ですが、同時に美食家としても知られ、当時の著名なシェフ、アントナン・カレームを雇い入れ、カレームとともに「美食外交」に手腕を発揮したことでも有名です。

 タレーランの下で腕を磨いたカレームはその後、数か国の皇太子や皇帝の料理長を歴任し「シェフの帝王かつ帝王のシェフ」と呼ばれる宮廷料理人になり、「有名シェフ」の先駆け的人物としてもよく知られるようになりました。

 ソースの話からタレーラン、アントナン・カレームへと飛びましたが、フランス料理の発展や広がりに大きく貢献した人物として2人の存在は欠かせないと思いここに登場させました。

 ソースに関連して、もう少し補足したいことがありますが長くなるので次回に回します。