スペイン料理2

 夕食を摂った「ボティン」は、世界最古のレストラン(1725年創業)としてギネスブックにも認定され、ヘミングウエーが常連客だったことでも有名なマドリードのレストランです。

 ボティンが誇る料理は、まだ草を食べる前の母乳のみで育った子豚を、創立以来の薪オーブンで焼いた「子豚の丸焼き」です。

 「子豚の丸焼き」は子豚の柔らく臭みの少ない肉質とパリパリとした食感の香ばしい皮が何とも言えない味わいでした。

 私は料理が運ばれた時、別段抵抗はなかったのですが、私のルームメイト(確か当時50代後半の方でした)は、闘牛を見た後の食事だったせいもあり、殺された牛のことを考えるととても子豚の丸焼きを食べる気にはなれないといって、あまり手を付けられなかったことを記憶しています。

 その関連で思い出すのは、昔読んだ「肉食の思想-ヨーロッパ精神の再発見-」の中の「ヨーロッパの人にとって、豚の丸焼きは残酷ではないが、小鳥の丸かじりは残酷」という一文です。私は退職後、書籍を随分処分しましたが、この本はどうしても手放すことが出来ず、今でも時々読み返すほど当時影響を受けた本です。

 「ソパ・デ・アホ」のソパとはスープ、アホとはニンニクのことで、カステーリャ地方のニンニクスープです。もともとは、羊飼いたちが、固くなってしまったパンを煮込むことで食べられるようにした再利用料理なのだとか。リメイクという点では、硬くなったパンを水に浸して使うイタリアの「パンツァネッラ」と共通点を感じます。

 メロンはスイカに匹敵するほどの大きさにびっくりしましたが、これはボティンだけではなく、家庭でパエリヤの講習の後に出たデザートのメロンも同様で、大きいからといって大味というわけではなくとてもおいしく、日本ではできない贅沢だと感激でした。