四川料理1(プロローグ)

 今回から、中国四大料理の一つ四川料理です。

 四川料理は他の中国料理と比べて圧倒的にスパイスの使用率が高く、特に麻辣(マーラー)と呼ばれる、痺れるような辛味が特徴ですが、四川は山に囲まれた盆地で、湿気が多く唐辛子によって発汗を促すことで健康を保つためといわれています。

 麻婆豆腐、エビチリ、担々麺、棒棒鶏、回鍋肉、おこげの餡かけ、宮保鶏丁、火鍋等日本でなじみの中国料理は四川料理が多いのですが、実は日本では福建料理広東料理の方が先に広まり、四川料理はs42年に陳建民がNHKの料理番組「今日の料理」で紹介してからです。日本人の味覚に合わせてアレンジしたことについての陳建民の言葉「私の中華料理、少し嘘ある。でも、それはいい嘘。美味しい嘘」、これ名言ですよね。本場のものと同じ味付けにしていたら現在の麻婆豆腐があったかどうか疑問です。

 余談ですが、病院食の麻婆豆腐は、「これが麻婆豆腐?」と思うほどマイルドでしたが、病院食に強烈な刺激はご法度なのでしょう。

 四川の旅は2006年3月末で、「日本調理科学会九州支部」主催でしたが、他支部の会員(京都、神戸、岡山)や一般の方の参加も得た研修旅行になりました。主な観光地は九塞溝とパンダ繁殖研究基地、視察は豆板醤工場、搾菜工場、漢方薬市場等。バスで九塞溝へ向かう道すがら目にした一面の菜の花畑、九塞溝に着いたら雪!このコントラストと九塞溝の青く透き通った池の水は脳裏に焼き付き今でも忘れえぬ風景です。四川の大地震が起こったのは2年後の2008年で、あの時地震に遭遇していたらと思うとぞっとします。