ポルトガル料理2

 ナザレはリゾート地として知られていますが、漁師町としても有名で、塩をふって炭火で焼いただけのシンプルな「鰯の塩焼き」は代表的な料理です。日本ではご飯と醤油が主流ですが、ポルトガルではオリーブ油にレモン、それにホクホクのじゃがいもをつけるのだそうです。

 

 メインディッシュはヒラメのムニエル。さすが漁師町、「どうだっ」といわんばかりの大きさです。

 鰯はせっかくなら塩焼きを食べたかったのですが、レストランではメインになりにくいのでオードブルとしてトマトソースかけになったのかもしれません。イラストに記載しているように、鮮度の良い鰯の味わいは感じられず缶詰のような味がしてちょっと残念でした。新鮮な鰯の味については子供のころ培った舌に自信があるのです。

 実は、私の故郷山口県の北浦は金子みすゞの詩「大漁」で有名な大羽鰯が大量に獲れた所で、大漁旗を高く掲げて船がかえってきたら「満船!」といって喜んだものです。バケツ一杯の鰯をいただき、新鮮なものは刺身にし、残りは甘辛く炊いたりみりん干しにしたりと、私の健康な体は鰯のおかげといっても過言ではないくらいお世話になった魚です。ナザレで鰯を丸ごと塩焼きにしているのを見たときは、つい故郷を思い出しました。

 気候変動の影響なのか、近年漁獲量はずいぶん少なくなりました。あれから38年、ポルトガルでも同様のことがおこっているのかしらと気になります。