鮭の料理

  昔から日本人は「魚食の民」といわれ、様々な種類の魚介類を食べてきました。近年は肉類に押され気味とはいえ、病院ではまだまだ魚料理は健在でした。主菜としての出現頻度は、魚は肉類の1.4~1.5倍位。魚種としては、鰆(サワラ)、鯖(サバ)、鮭(サケ)、鱈(タラ)、鯛(タイ)、鰤(ブリ)、鯵(アジ)、鰈(カレイ)、赤魚、鱸(スズキ)、鰯(イワシ)、秋刀魚(サンマ)、𩸽(ホッケ)、烏賊(イカ)、海老(エビ)、浅蜊(アサリ)等種類は多く、出番が多いのは鯖と鮭でした。どちらもスーパーの鮮魚売り場で必ず目にする庶民的な魚です。

 ところで、大みそかからお正月にかけてよく食べる魚のことを「年取り魚」と呼ぶことご存じですか?東日本では鮭、西日本では鰤がそれにあたります。鮭は川で生まれ海で育ちまた川に戻ってくる出世魚で、その卵のいくらは子孫繁栄の意味もある縁起魚、鰤も成長するにつれて名前が変わる出世魚の代表格です。

 おめでたい出世魚にあやかり、魚料理の締めくくりは鮭です。

 「チャンチャン焼き」は鮭と野菜類を鉄板で蒸し焼きにして味噌で味付けした北海道漁師町の名物料理です。名前の由来は「お父ちゃんが焼くから(昔はお父さんのことを『ちゃん』と呼んでいましたよね)」「鉄板で焼く際にチャンチャンという音がするから」など諸説あります。

 食材はどこでも入手可能、フライパンでもホイル焼きでもよいし、調味料もバターや味醂、マヨネーズを加える等アレンジしがいのある料理です。

 A病院で出た「鮭のチャンチャン焼き」はちょっと取りすました上品な感じでした。

 

  鮭はフライパンで焼く料理が多く、次にあげる「ムニエル」も「マヨ焼き」もそのたぐいです。

  B病院の主菜の付け合わせには野菜数種を炒めたものがよく出ましたが、たいてい塩味が極端に薄く、魚と交互に食べていました。魚の塩味が薄いときはお手上げ。

 鮭はマヨネーズとの相性が良いのか、「鮭のマヨ焼き」は3回出ました。

 

  魚料理には鮭しか使ったことがないという知人がいます。切り身で癖も少ないので扱いやすいということもあるのでしょう。家庭で購入する生鮮魚介類の種類はアジ、イカ、サバのような下ごしらえが必要な一尾ものから、簡単に調理ができてすぐ食べられる「切り身」や「刺身」にシフトしてきました。便利な世の中になったとは思うものの、せめて3枚卸しができるくらいの技術を身に付けていた方がいろいろな意味で「お得」と考える私は古いタイプの人間なのかもしれません。「今時そんな考えは通用しない」という声が聞こえそうです。