福建省の食文化9(佛跳牆)

 夕食の続きです。主役は何と言っても福州発祥の佛跳牆(ぶっちょうしょう)。

 佛跳牆はぶっ飛びスープとも呼んでいますが、名前の由来は「あまりの美味しそうな香りに精進料理しか食べられないと定められている僧侶でさえもお寺の塀を飛び越えて来る」というものです。乾物を主体とする様々な高級食材を長時間かけて調理する福建料理の伝統的な高級スープ。私たちが食べたのは、フカヒレ、ナマコ、アワビ、椎茸、スッポン、干貝、ハトの卵、鹿のアキレス腱入りで、スープはゼラチン質たっぷりで旨味が濃縮され何とも形容しようのない深い味でした。この料理は別格とみえて別料金でした。

 後年、台湾でも佛跳牆を食べましたが、里芋が入ったスープは濁っていて、別物という感じで、福州の佛跳牆のイメージが強すぎてがっかりしたのを覚えています。

 シャコやアヒルの胃袋、金銀饅頭も特別感はあるのですが、佛跳牆の前では霞んで見えます。

 福州で評判の高いレストランでほぼ満足のいく料理だったのですが、唯一不評だったのが空心菜の炒め物(色は悪く味もイマイチ)。この手の青菜炒めはこれまで外れたことはなかったのに、、、