チェコ・ポーランドの旅6(ピンカス・シナゴーグ他)

 午後は、ナチスによるホロコーストの犠牲になったユダヤ人の記念館「ピンカス・シナゴーグ」へ行きました。

 シナゴーグというのは、ユダヤ教の会堂のことです。赤と黒で内壁一面にぎっしりと書かれた文字を遠目に見た時、最初はデザインかと思ったのですが、刻まれていたのはなんと強制収容所で殺害された7万7千人余の名前と生没年月日でした。

 チェコポーランドの旅4でも触れたテレジンの「子供たちの絵」も展示されていました。

 野村路子先生によるこの絵に関する話が小学6年生の教科書に採用されています。ネットに掲載されていた概要を引用します。「第二次大戦中、ドイツに迫害されテレジン収容所に送られたユダヤ人画家・フリードルは、そこで強制労働をさせられているユダヤ人の子供たちに、ドイツ兵に見つかる危険を冒してでも絵を教えた。子どもたちは、平和だったころの楽しい思い出を絵に書き、次第に笑顔を取り戻した。しかし取り巻く現実はますます悪くなり、子どもたちもフリードルも、次々とアウシュヴィッツへ。戦後、収容所の片隅から子どもたちの4千枚の絵が見つかった。当時、フリードルに協力したビリーが見つけ、20年以上をかけてほとんどの絵に名札を付けたという。」

 この絵が見つかるまでには、奇跡に近い出来事が幾重にも重なりものすごくドラマチックで、ほんの数行ですますのは申し訳ないのですが、それを語るには紙面が許しません。

 絵の1枚1枚には想像もできないほど様々な事実や思いが込められていますが、初めて目にする私には、野村先生の解説がなければ、残念ながらそれを推し量るだけの想像力も感性もありません。

 偶然この絵と出会われ、全国で「テレジン収容所の幼い画家たち展」を開催されるようになった野村先生のお話は別の機会に。

 絵を見た後、ピンカス・シナゴーグの敷地にある旧ユダヤ人墓地(倒れた墓石が折り重なっており、現在は使われていない)を歩き、その後、モルダウ川にかかる中世の石橋・カレル橋を往復して自由時間(食事も各自で)を楽しんだのち、夜、国立マリオネット劇場にて人形劇「ドン・ジョバンニ」を鑑賞しました。

 この日、歩数計の数値は最高の18178歩。よく歩きました。