チーズは薄切りしたパルミジャーノ・レッジャーノでした。パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)は粉チーズにするものとばかり思い込んでいたので、他のチーズと同じような食べ方もするのかと恥ずかしながら目からウロコでした。
「グラッパ」はワインの搾りかすで作るイタリアの蒸留酒で、アルコール度数は30度から60度と高く、イタリアでは食後酒として飲まれるのが一般的ですが、この時はビスケットをグラッパにつけて食べました。アルコール度が強すぎてこんないただき方をしたのかもしれません。
高品質といわれる年代物のワインやトスカーナ料理をいただき楽しく談笑しているうち、アルコールも回ってきたのか皆上機嫌になり、いろいろな歌が次々と出てきたのですが、参加者の年齢からくるものなのか文部省唱歌的な歌が多かったのは面白かったです。
美味しい酒と料理はこんなにも人間を気分よくさせるものかと思わされる一場面でもありました。
ワインのつまみだけでなくこれまで出てきた料理をみると手の込んだ料理は少なく、概してシンプルで食材のおいしさを味わうものが多く、スローフード運動がイタリアで始まった理由がわかるような気がします。伝統的な食材や料理を継承し、質の良い食材を提供する小生産者を保護しようと呼びかける運動は、地域の食材を守り、食べ続けたいという強い思いが底流にあってこそと思います。
イタリアにおけるスローフードは、1980年代半ばのファストフード(発端はマクドナルド)の流入がきっかけでしたが、その後、国際的な運動として広がり「スローフード日本」が発足したのは2016年です。
食べ物が届くまでの道のりや生産者などに思いを馳せることは、食生活・食文化を見直すことでもあるのだと思います。