イギリス1(パブのフィッシュ&チップス)

             

 これまで、イギリスについては機内食と朝食を取り上げました。

 限られた地域ですが、今回からスコットランドイングランドで食べた昼食と夕食の紹介です。

 トップバッターはイギリスで最もポピュラーなファーストフードの「フィッシュ&チップス」。

 イギリスのシンボルともいえるこの料理、実はユダヤ人移民のフライドフィッシュとフランスからきたフライドポテトの組み合わせなのです(vesta no.75より)。

 魚とじゃがいもを揚げただけのシンプルな料理ですが、衣もじゃがいももカリッとして、中はほくほくと柔らかく、案外飽きのこない料理という気がします。

 これは、2013年にロンドンのパブで夕食用に出たもので、サラダとフィッシュ&チップスとデザートのみ。

 調味料もフィッシュにはタルタルソース、ポテトには塩。夕食にしてはずいぶん殺風景です。

 それにしてもフィッシュもポテトもグリンピースもその量の多さには閉口します。

 サラダに「久々のたっぷり生野菜」と書いていますが、イギリスでは概して加熱野菜が多く、この手のサラダは、かえって新鮮に映ります。

 

薬念(ヤンニョム)

 様々な韓国の料理を通して、韓国料理の特徴をみてきましたが、韓国料理を語るのに外せない薬念(ヤンニョム)という言葉がどこにも出てこなかったので、少し補足します。

 薬念は焼肉などに下味をつける他、キムチ、チゲ、ナムルなど様々な料理に使用されます。

「薬念」は各種調味料や薬味・香辛料の総称で、5味を基本とした調味料(塩・醤油・酢・砂糖・コチュジャン・塩辛等)と薬味・香辛料(ニンニク・唐辛子・生姜・ごま油・ごま・ネギ・山椒等)を組み合わせると韓国ならではの複合的な味のハーモニーが生まれます。

 1つの料理に何種類もの薬念を使うので、料理を美味しくするだけでなく、素材が持っていない栄養素もプラスすることにもなります。

「薬念」を用いて、「体に良い薬になりますように」と念じて作る美味しくて栄養のバランスが良い料理は、体の薬になりますから「薬念」はまさに「薬食同源」の思想を体現したものだといえます。

 以上で、韓国の料理は終わります。最後まで見ていただいた方

 

           감사합니다カムサハムニダ

 

 次回から、料理数、調味の点で韓国とは対極にあるとも言えそうなイギリスです。

 

           

 

 

 

 

ピビンパプ

 ピビンパプは日本でもおなじみの韓国料理で、ご飯の上に彩りよく並べられたナムルや牛肉、卵などの具をコチュジャンとともによく混ぜて食べます。

 韓国では、しじみピビンパプと同様、具の上にご飯を載せるという日本では見たこともないタイプのピビンパプを何度か経験しました。

 マッコリ定食をいただく2時間前に食べた夕食がこれです。

 ピビンパプには、上にご飯を載せたとわざわざ書いています。

 これもご飯と具が別々に出てきて、ご飯とコチュジャンを具の中に入れて混ぜるタイプです。

 ところで、混ぜるということに関して。

 ちらしずしを食べる時、韓国の留学生がピビンパプを混ぜるような要領で勢いよく混ぜたというエピソードを聞き、韓国って、混ぜて食べる文化なんだとつくづく思いました。日本人なら、「せっかくきれいに盛り付けたのに、なんということを」とまゆを顰められそうな話です。

 ちなみに、錦糸卵、海苔、鶏肉の載ったカシワ飯弁当をかき混ぜて食べる日本人をほとんど見かけませんが、韓国の人なら良く混ぜて食べるのでしょうかね。ちょっと興味があります。

 

 

しじみ定食

 しじみの産地として有名な河東(ハドン)で食べた「しじみ汁定食」。日本との違いに驚きました

 数種のナムル、キムチ、チジミ、魚の塩焼き等他の定食と似たようなおかずが並んでいます。

 ここでも魚は頭が右、つい日本と比べ、執拗ですがこの向きには違和感を覚えてなりません。

 日本で貝汁といえば、アサリの味噌汁と相場が決まっていて、貝は殻つきで、殻をのぞいたら「たったこれだけ?」とがっかりすることが多く、なんだか上げ底のような気さえします。

 河東のしじみ汁は殻が取り除いてあり、ちょっとオーバーな表現ですが「数年分のしじみを食したような気持ち」と表現したほどしじみの身が底にたっぷり入っていました。

 しじみピビンパプ(間違ってしじみナムルと書いています)のそれと合わせるとすごい数になり、殻から身を外すだけでもすごい手間のはず!

 機械で外す? 人間が手で外す? それともロボット? 思わずこんなことに思いを馳せました。

 なお、しじみピビンパプは器の下に具が敷いてあり、この上にご飯を好みの量乗せてコチジャンを入れてかき混ぜて食べるというものでした。

 

竹筒ご飯定食

 韓国内で最も広い竹林を有す潭陽(タミャン)で郷土料理の「竹筒ご飯」を頂きました。

 竹筒飯は、竹の中に、米をはじめとして様々な具を入れて、直火で加熱したものです。切ったばかりの青竹は水分を多く含むため、直火で加熱しても焦げる程度で、竹の香りが漂うご飯です。

 竹筒飯は、竹が簡単に調達でき、コメも収穫できる東南アジアのほぼ全域に分布しており、材料も作り方も様々で、水の替りにココナツミルクを用いる地域もあります。

 台湾で食べた竹筒飯は、細長い竹に椎茸と豚肉入りのおこわが入っており、縦2つに割って食べるというものでした。

 潭陽の「竹筒ご飯定食」は塩辛定食と同様、数々のおかずで埋め尽くされています。

 イラストには「肉」としか書いていないのですが、これ潭陽の名物料理「トッカルビ」です。トッカルビは韓国風ハンバーグとも言われ、カルビ(牛バラ肉)を細かく刻んで作ったものです。おいしかったはずなのですが、前日のムール貝でおなかの調子が悪かったため、ちょっと箸をつけただけというわけで味の感想なしです。

 よく似た名前の「タッカルビ」はコチュジャンを主体とした調味料で味付けした鶏のぶつ切りと野菜を炒めたもので、これにチーズを加えた「チーズタッカルビ」は一時日本でちょっとしたブームになりましたね。私もはまっていた時期がありましたが、今はすっかり熱が冷めそんなこともあったなあと懐かしく思い出す程度です。

 

塩辛定食

 塩辛は、魚に塩を加えて作られる発酵食品で、朝鮮半島では多くの塩辛が作られその数40種を超えるといわれています。

 韓国の塩辛というと、キムチを漬ける際の材料として使われるアミの塩辛が浮かびますが、韓国ではキムチと同じくらいよく食べられている副惣菜の一つなのです。ホームスティ先の朝食にも出ました(7月6日にアップ)

 韓国で最大の塩辛生産地として知られる江景(カンギョン)で「江景塩辛祭り」を見学後いただいた「塩辛定食」をお目にかけます。

 最初に10種類の塩辛と御飯、チゲが出てきました。写真を撮ったり、塩辛の材料を聞きながらメモすることは、私にとって、食前のちょっとしたセレモニーです。

 サンチェでご飯と塩辛を包んでいただきます。

 1枚目の内容だけで「塩辛定食」といっても通りそうなのに、そのあと魚介・肉・野(緑黄野菜・淡色野菜・根菜類等バランスよく)フルーツ等取り混ぜた13種類もの料理が出てきて、これが韓国の定食なのだとつくづく感心します。

 韓国で食事をするたびに私は「医食同源」(韓国でいう「薬食同源」)を感じます。

マッコリ宴席

 ピビンパプやカルビなど12種類の料理が出た夕食を終わって2時間後、「マッコリ」の試飲に行きました。

「マッコリ」は米を主原料とした醸造酒で日本の濁り酒に似ていますが、アルコール度数は低く(6%前後)飲みやすい酒です。

 試飲というので「マッコリ」の飲み比べかと思っていたら、なんと「マッコリ宴席」。17皿の料理付きで夕食よりもボリュームがありびっくり仰天!

 ジョン、枝豆、刺身盛り合わせ、キムチ、雑菜、豆腐、目玉焼き等酒の肴らしきものが並んでいます。

 おっかなびっくりで食べた蚕の蛹1/2匹、どんな味だったか全く記憶がありません。

 赤貝、ムール貝(この時は食べていません)、スケソウダラ、サンマ、ハンバーグ、キムチ、塩辛、チジミ、カニの醤油漬け、おにぎり等夕食後には重すぎました。

 尾頭付きの魚の向きは気になり、この時は、頭が右と書いています。

 韓定食4‐2(8月29日)でも出たエイの発酵食品「オンオフェ」はマッコリにとても良く合うといわれ、韓国では一般に茹でた豚肉やキムチと一緒に食べるそうで、韓定食4‐2にも同じ組み合わせで出ていました。

「思ったより食べやすかった」と書いていますが、アンモニア臭が強くてもう一度食べたいとは決して思いません。